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2011年6月13日 (月)

B-地形・地質遺産

B-地形・地質遺産

1.ジオパーク候補地の位置

 室戸ジオパークは、西南日本の施行東南部に位置する(北緯33度16分、統計134度10分)(図B-1)

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図B-1:地域の地図

2.地質概要

 室戸ジオパークは、大陸成長の根幹をなす付加体で特徴づけられる。原始地球において、プレートテクトニクスの開始、孤島の形成、付加体の発達という一連の過程によって大陸の成長が始まった。ユーラシア、アフリカ、アメリカ、オーストラリアなど主要な大陸の基礎は、沈み込み帯における付加作用によって形成された。また、アルプスやヒマラヤの造山運動のように大陸衝突の際にも付加体形成があった。現在も海底下の付加体は環太平洋域に点在しており、アラスカや北米海岸、台湾、東南アジア諸島などでも同様の地質体が形成されている。(図B-2)。しかしながら陸上の付加体は、火成活動、変成活動、大規模な地殻変動、造構性浸食(東日本のように)などによって本来の姿を失われる傾向が強い。

 一方で、室戸ジオパークでは世界で最も簡単に本来の付加体を観察することが可能である。これは、沈み込み海洋プレートの形成年代が突然若くなったことで、地質学的な奇跡が起きたからである。約100Ma(1Maは100万年前)からアジアの東縁辺で古い海洋プレートの沈む込みによって付加体が形成されていた。約25Maになると、代わって若い海洋プレートであるフィリピン海プレートが沈み込むようになる。海洋プレートは形成年代が若いほど比重が小さい傾向にある。そのため、海洋プレートが沈み込む時に大陸プレートを押し上げる力は若いプレートの方が大きい。沈み込んだ若くて軽い海洋プレートが大陸プレートを押し上げることによって、本来の姿を保った付加体が陸上に露出した(図B-3)

<※(GGN日本語版申請書連載)の書き込み写真は、横長に伸ばしています>

Photo_2 

図B-2:付加体を形成する境界と付加体を形成しない境界(von Huene and Scholl,1991を改変)

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図B-3:東アジアの発達史(平、1990を改変)

Photo_4 

図B-4:地質図 四国東部四万十帯(Taira et al.,1988を改変)

 

 日本列島には、古生代から新生代までの様々な付加体が分布している。古世代前・中期の付加体は変成岩となっているが、古世代後期、ジュラ紀、白亜紀、新生代のそれぞれの付加体は、変成することなく、広く分布している。ジュラ紀の付加体は秩父帯に、白亜紀から新第三紀の付加体は四万十帯にそれぞれ属している。新第三紀以降現在までの付加体は、室戸沖などの海底下に分布している。

 四国では低角逆断層である仏像構造線を境に北側の秩父帯と南側の四万十帯に分かれており、さらに四万十帯は安芸構造線を境に白亜系と、古第三系に区別される(図B-1,4)。室戸ジオパークは古第三系に属しており、55Ma~25Maの地層が分布している。(図B-5)。

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図B-5:古第三紀の四万十帯に属する室戸半島の地質構造図(Underwood et al,1993を改変)

 

 付加体形成時に海嶺が沈み込むことによって、化成活動が起こり、斑レイ岩が形成された(e.g.Mizoguchi et al.,2009)。斑レイ岩は、14.40.4Ma(Rb-Sr黒雲母-全岩アイソクロン年代による)(浜本・酒井,1987)にまだ海底にあった時の付加体(四万十帯)に貫入した(Hoshide et al,2009)。火成岩と接する砂岩泥岩互層(付加体)は、接触変成作用を被っているが、付加体の本来の姿をほとんど改変しなかった(Hasebe et al.,1993)。

 室戸半島の逆三角形の形態は、この付加体の成長による隆起と関連している。室戸ジオパークを含む地域は全体として、東西圧縮の場にある(粟田・杉山,1989;岡村,1990)。四国では、室戸半島と足摺岬が隆起し、土佐湾が沈降している。室戸岬の隆起を明確に示すのが、室戸岬の西海岸に分布する第四紀の海岸段丘である。16万年前以降に作られた波食台を標高180m以下に何段も確認できる。それぞれの段差は、氷期と間氷期の海水準変動と地震隆起によって作られた(酒井 2003)。

 大地を隆起させた地震は、現在もなお100~150年の間隔で発生し続けている。1946年にあ、マグニチュード8クラスの巨大地震が(南海地震)による震動と津波が西南日本を襲った。そして、今後30年以内の巨大地震の発生率は60%以上と予想されている(平成19年度地震調査研究推進本部)。この予測モデルの構築に、室戸ジオパークにおける海面付近にのみ生息する生物(ヤッコカンザシ)の巣の形成年代(14C法)(Maemoku,2001)と、室津港(室津港サイト)における潮位観測を用いた研究(Shimazaki and Nakata,1980)が大きく貢献している。

 また近年、付加体の形成過程と地震発生の密接な関係が指摘されたことをきっかけとして(Hyndman et al.,1993;Moore and Saffer,2001,Ikesawa et al.,2003)、陸海の両方で沈み込み帯における付加体成長や巨大地震メカニズム解明のための集中的な研究が国際プロジェクト(IODP:Integrated Ocean Drilling Program:国際統合深海掘削計画)として進行中である。そして、南海トラフにおける海底音波探査や海底掘削などによって、海底下の付加体の詳細な構造が明らかになってきた(e.g.Park et al.,2002ab;Kodaira et al,2000,Taira et al.,1993)。さらに、国家プロジェクトとして地震・津波観測監視システム(DONET:Dense Oceanhloor Network System for Earthquakes and Tsunamis)の構築が始まり、南海地震を詳細に観測する体制が整いつつある。私達は、このような最新の研究成果が室戸ジオパークの理解をさらに進めるものと期待する。

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